高千穂郷・椎葉山地域は、森林に囲まれ平地が極めて少ない環境下で、木材やシイタケ、和牛、茶、稲作等を組み合わせ、農業と林業とを複合的に行うことで、森林の保全と活用とのバランスを図りながら生活の糧を得ています。その営みは、森林や農地に生息する希少動植物の保全、山々の斜面を覆う棚田などの美しい景観、そして、五穀豊穣を願う神楽などの伝統文化を育んできました。こうした人々の暮らしが、世界的に高く評価され、今後も次世代に継承すべき農業システムとして、平成27年に世界農業遺産に認定されました。

エリアの紹介

宮崎県北西部に位置する5町村(高千穂町、日之影町、五ヶ瀬町、諸塚村、椎葉村)で構成されています。

  • 車(高千穂町へのアクセス)
    • 福岡市→熊本I.C経由、国道57号、国道325号で約180分
    • 宮崎空港→東九州自動車道、国道218号経由で約110分
    • 大分市 →東九州自動車道経由で約130分
    • 熊本市 →国道57号経由で約100分
  • JR(高千穂町へのアクセス)
    • 博多駅 → 高速バスで約210分
    • 熊本駅 → 特急バスで約180分
    • 延岡駅 → 路線バスで約90分
    • 宮崎駅 → 高速バスで約160分

九州中央部に位置し、標高1,000m以上の険しい山々に囲まれた山間地で、約92%が森林と、耕作地が極めて少ない地域です。その中でも、焼畑農業や、棚田での稲作等が行われており、特徴的な農業が現在まで受け継がれています。人口も決して多くなく、30戸以下の集落が7割以上を占める地域ですが、里山や渓流、集落と棚田が織りなす美しい景観も魅力の一つに挙げられます。

佐藤翔平「実り」

沼口「狭田に生かされて」

佐藤翔平「田植え」

手力雄の舞

農業をするじいちゃんが好き

取組

焼畑(火入れ)

焼畑農業

縄文時代の農法を色濃く残した伝統的焼畑農業は、焼く場所を毎年移し、4年程度ソバや大豆等を栽培した後、休閑期を設けて森林を再生させる20年~30年サイクルの循環型農業。

伝統的農林業

さまざまな伝統的農林業

地域で採取した粗飼料を与えて少頭数を大切に育てる肉用牛、日本一の生産量を誇る釜炒り茶、循環型のシイタケ栽培等、特徴的な農林業の複合経営によって経済面の安定を高めている。

諸塚村のモザイク林(新緑)

木材生産とモザイク林の形成

用材生産のためのスギやヒノキなどの針葉樹、シイタケ栽培用の落葉広葉樹、そして保全管理されている常緑照葉樹。植生を細分することで生まれた「モザイク林相」は、森と共生するこの地域の象徴である。

山腹用水路

山腹用水路と棚田

傾斜地にある棚田の水を確保するため、急峻な山腹に建設された「山腹用水路」。総延長500㎞以上の山腹用水路と1,800haを超える棚田は、先人の多大な努力の賜物である。

伝統文化と地域の絆

伝統文化と地域の絆

「神楽」などの農耕古神事や、「刈干切唄」「ひえつき節」といった日本を代表する民謡など、独特の農林文化を通じて育まれた地域連帯が住民を堅い絆で結んでいる。

森林理想郷による地域づくり

森林理想郷による地域づくり

森林資源と伝統的な暮らし文化を保全活用し、心豊かな人生を創出する「フォレストピア(森林理想郷)構想」をコンセプトに、特徴的な地域づくりが進められている。