近海かつお一本釣り漁業の漁獲量で、25年以上連続日本一を誇る日南のかつお一本釣り漁業。江戸時代から続く伝統漁業です。かつて造船材にも使われた飫肥杉の森と豊かな山々、川、海が有機的につながることで、今日まで受け継がれてきました。かつお一本釣りは、釣っても群れの2割程度しか釣らないため、かつお資源に優しい漁法。世界が目指す「SDGs(持続可能な開発目標)」の理念にも合致する、この地域の価値ある宝です。

エリアの紹介

日南かつお一本釣り船団の最大の母港を有する「目井津漁港エリア」、飫肥林業と日南かつお一本釣り発展のルーツ「飫肥城下町エリア」、造船材飫肥杉を海へ運んだ「油津堀川運河エリア」の他にも、漁師が信仰する「鵜戸神宮」(国指定名勝)、飫肥杉人工林内を散策できる「三ツ岩遺伝資源保存林」、苔の聖地で山地の自然を体感できる「猪八重渓谷」がある。

  • 日南市へのアクセス
    • JR 約1時間20分(宮崎空港駅~田吉駅~日南駅)/宮交バス 約1時間30分(宮崎空港~日南駅前)/車で約1時間

この地域におけるかつお一本釣り漁(法)は、江戸時代中期から後期にかけて紀州藩(和歌山県)から現在の日南市を治めた飫肥藩に伝わったとされますが、かつおを漁獲していた歴史は古く、平安時代中期に編纂された「延喜式」に堅魚(かつお)の貢納地として「日向」の記載があることから、少なくとも1100年以上前からかつおを獲っていたことが分かります。日南かつお一本釣り漁業は地域の飫肥林業と絡み合って発展し、釣り・魚群探索・漁具作製の昔ながらの技術や出漁前の風習などが現在まで受け継がれています。

伝統技法「二丁跳ね」による釣り込み

生餌の積み込み

飫肥城旧本丸の飫肥杉木立

鵜戸神宮

大島付近の海中

取組

日南一本釣りカツオ炙り重

日南一本釣りカツオ炙り重

日南の一本釣りかつおを、生で、炙って、お茶漬けで、自分好みの楽しみ方ができる人気の新ご当地グルメ。この料理は市内の飲食店が協力して開発に乗り出したもので、市内で9店舗、東京で1店舗が提供しています。

初出漁のセレモニー

初出漁のセレモニー

1月下旬から2月初旬は初出漁のシーズン。初出漁では、船のブリッジ内に祀られている船霊様に霧島神社の神職が祈願を捧げ、その後、港に響く音楽とともに華々しく出航します。堤防で待ち構えれば、かっこいい船の写真を撮ることができます。

えびす神楽

えびす神楽

目井津漁港のすぐ側の高台にある霧島神社では、毎年1月10日に恵比寿まつりが行われ、海幸彦・山幸彦神話を題材とした「えびす神楽」が奉納されます。最近では、地元出身で宮崎住みます芸人「チキンナンゴー」のお二人がこの神楽を練習しています。

漁師めしを喰うてみろかツアー

漁師めしを喰うてみろかツアー

目井津の港や町を散策した後、美味しいかつお料理を食べるイベント。かつお一本釣りギャラリー推進協議会が毎年10月頃に開催しています。この他、1月頃にはかつお船の乗船体験イベントなども開催されます。

「漁民の森」活動

「漁民の森」活動

かつお一本釣り漁業には生餌が欠かせず、生餌には沿海の良質な水と静穏な環境が欠かせません。そして、豊かな沿海には山から流れ込む栄養分が大切です。「漁民の森」は漁業者と林業者が協力して整備した森で、漁業者が管理を続けています。