自然との共生。
猟で守る里山の暮らし。

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綾ユネスコエコパーク

自然との共生。<br />
猟で守る里山の暮らし。

宮崎市から車で40分。宮崎県中央部に位置する綾町は「自然との共生」をテーマに野生動物と人間が生活区域を分け合いながら暮らしている。しかし、近年一部の野生動物が増えすぎたためにそのバランスが崩れている。自然の生態系と里山の暮らしを守るため有害鳥獣の駆除をおこなっているのが「綾猟友会」の皆さんだ。
「猟は、やってみると楽しいよ。自然の中で生きていると実感するね」そう語るのは綾猟友会の小西会長。30年、イノシシや鹿など猟をおこなってきた。綾猟友会のメンバーは14人。多くが自営業者や会社を定年退職した人たちだ。平均年齢は60歳。狩猟歴5年ほどの30代の新米ハンターから、狩猟歴40年の70代のベテランハンターもいる。綾町に移住してきて、勉強し狩猟免許をとってハンターになった会員もいるという。

狩猟の大切さと楽しさを伝えたい。

獲物を探し、追い詰めるために欠かせない猟犬。

自然の恵みをいただきながらできる事を

イノシシ鹿猟へ出発。

狩猟歴34年。「綾猟友会」会長の小西さん。 

2月下旬イノシシと鹿狩りに同行させていただいた。
この日はハンター7人と犬11匹で猟に向かう。車で行けるところまで山に入り、車を停め、徒歩で山へ入っていく。草をかき分け、道無き道を進み猟場へと向かう。途中、鹿の足跡を見つけた。どこに獲物がいるか常に意識しながら進む。
猟はハンター同士の連携プレーが欠かせない。この日は犬を使って追い立てる勢子(せこ)が2人。待ち伏せして獲物を撃つ待子(まぶし)が5人。ハンターは森の中でも目立つよう蛍光オレンジのベストと帽子を着用する。視認性を高めることで誤射による事故を防ぐためだ。イノシシ・シカは青色以外は識別できないので捕獲に影響はないという。

「野生動物は、基本的に人間に向かってくることはないが、怪我していたりすると向かってくることもある」音や人間の気配にも敏感なので、静かに行動しなくてはならない。

山道を進んでいくと途中には鹿の足跡も。

捕らえるのは一瞬。神経を研ぎ澄ます。

獣道に獲物が来るのをじっと待つ長田さん。狩猟歴は30年。

連携プレーで獲物を追い詰める。

獲物を仕留める銃弾。緑が実弾で1発、赤は散弾銃の弾で15粒入っている。

それぞれの持ち場についたらトランシーバーで連絡を取りながら獲物が来るのを待つ。「9番、今そっちに行ったぞ」「逃げられた」「まだ近くにいる」緊迫したやりとりが続く。

司令塔の役割のハンターが丘から見下ろす。「鹿は右端の林から出てくる。イノシシはこの道を通ってそっちの林から出てくるから各自ポジションについている」長年の経験で獣がどこを通るか全て頭に入った上で的確に指示を飛ばす。次の瞬間。ドーンと一発の銃声。犬に追われて鹿が野原に出てきた。読み通りだ。

結局、この日はシカ4頭を獲った。肉は必要な部分を持ち帰り、あとは土に埋葬するという。採れた肉はメンバーで分けたり、近くのお店や飲食店に販売する。解体も料理もすべて自分たちでおこなう。イノシシは、しし鍋や塩焼きに。鹿は、刺身や竜田揚げにするという。「山の恵みを無駄にするようなことはない。山がいいから脂がのっていい肉ですよ」と小西さんは語る。

犬に追いかけられ、鹿が三頭、林から出てきたところ。

狩猟文化を伝えていくことの重要性。

猟師が少ないので増えてほしい。

丘の上から銃を構える狩猟歴30年の浅尾さん。

「若い人にもっと狩猟のことを知ってほしい。うちはまだ若い子もいるけど、全国の猟友会は高齢化とメンバー不足が問題になっています」。
綾猟友会は、毎週水曜、土曜の週2回のペースで活動している。土曜日は最近猟をはじめた30代の若い人たちもくる。「趣味で一番面白いのは猟だと思う。いくたびにドラマがあるから」と小西さんは笑顔で語る。

小西さんは地域の若者にも猟のことを知ってもらおうと、様々な講演活動やイベントをおこなっている。狩猟についてはもちろん、獣害にあわない畑作りなど、その内容は多岐に渡る。「綾の農業祭や公民館の文化祭ではイノシシの丸焼きを振舞った。美味しい美味しいとみんな喜んで食べてくれるのが嬉しい。この前は、大学生も狩猟文化について学びに来た。罠のやり方を教えてあげたらすごく興味を持っていた」。

綾猟友会では、畑や山を守るために林道の整備をし、ハンターの指導もおこなっている。「父が猟をやっていて小さい頃から見ていた。親がやっていると面白さがわかるから自然とやるようになる」森と共に生き、森の恵みをいただいて生きる。「狩猟の魅力をこれからも伝えていきたい」と小西さんは力強く語った。

狩猟は1番楽しい趣味と笑う小西さん。

猟場が一望できる高台。

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